10/19/2021

オオハリイ


 オオハリイ

Eleocharis congesta var. congesta f. dolichochaeta

別の名称で入荷したものですが、桿の長さ、穂の形とサイズから、オオハリイとしました。どちらにしてもストックしているファームさんは少ないですし、久しぶりに出会ったので、ほんとにうれしい限りです。

もともと沈水生活には向いた種類なので、水槽での育成も難しくありません。

国内では、本州から沖縄、海外では、中国から、東南アジア、インドまで分布があります。私も広義のハリイという意味では、何か国で見たことがあります。というより、あえて探しているのですが。

というのも、初めての海外フィールドで出会ったコンゲスタに衝撃を受けて忘れられないのです。場所は、マレーシア、ボルネオ島。同行者は故・吉野敏さん。長年アクアショップを経営し、海外での経験も豊富な吉野さんにお願いして連れて行ってもらった旅でした。

うっそうとした熱帯のジャングルのなか、細い川沿いを歩き続け、足場の悪さと馴れない旅でへとへとになり、さらに奥へとクリプトの探索を続ける吉野さんをひとりで待っているときでした。学校の教室ひとつ分くらいにスペースでしょうか、突然という感じで、そこだけ開けていて光が燦燦と差し込む場所です。底は白っぽい砂泥、深さはせいぜい腰くらいで、ゆるやかな流れがあります。私は縁に腰掛け、足先だけ水に浸かった状態です。そのつま先の向こうにコンゲスタの群生が、大きくゆっくりと揺れていたのです。水草が育っている様子でこれほど美しいものを見たのは初めてでした。ただ、一種類の水草、それもレイアウトではほとんど使われないような種類が、たくさん生えているだけなのにです。迫力に負けてしまったのか、経験値がなく何でも感動していたからなのか、疲れていたからなのか、理由はわかりませんが、心に焼き付いたのは確かで、今でも、水草の美しさを感じる基準のようなものになっている気がします。

どこででも、どんな種類でもいいので、皆さんにも、水草との良い出会いがあることを願っております。

もちろん当店webshopでも。

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