1/29/2023

水草ショップがエキノドルスを水槽へ入れる前にしていること

water plants loverブログ


水草が売れて、空いたスペースに新たにエキノドルスを入れるときのお話しです。
当店でおこなっている、販売水槽での管理なので、一般的な水草水槽でお役に立つかどうかわかりませんが、うちではこんなことしてます。


砂利の中の状態は上から見ただけではわかりません。1枚目の写真もぱっと見、そんなに汚れてるようには見えませんよね。

底床内は微生物が住み着いていて、汚れを分解してくれています。汚れに対してそれを分解する微生物の働きが見合っていれば、バランスが取れた状態ということで底床内環境は良好と言えます。汚れに対して微生物の働きが足りていなければ、バランスが悪い状態で底床内環境は良好とは言えません。

これがぱっと見じゃわからないんです。
経験値を積めば、コケの生え方や油膜の量や水の透明度などで、遠からずのあたりは付けられるますが、それには、いつ植えて、どう育って、その時はどれくらい根を出して、その状態がどんな感じで、前回底床のメンテナンスをしたのがいつで、どれくらいやって、あと、周りの草についてもそれぞれ同様に判断して、それからようやく、結果、底床内環境はこうなってるんじゃないかと想像する、という感じで、経験に基づいた感覚的なことも必要になってくるのですが、それをすぐにわかるようなれというのは無理です。私だって時折見誤ります。
しかも、それがわからないといけないとか、水草水槽が出来ないという事でもないので、まあ、全然気にしないで、いずれという事で、話を先に進めましょう。
ちなみにプロはみんなわかっています(笑)。

で、
販売水槽の場合は、抜いたり植えたりの出入りが激しく、一般的な水草水槽に比べ、底床内環境が安定しにくくなりがちなのです(多すぎる攪乱の機会は安定の妨げになるんでしょうね。もちろん、それに適応した安定状態にはなるのですが、それが求めているレベルの状態と乖離しすぎていると、結果、安定しているとは言えないことになるんですね)。

そこで、補助的に、汚れを抜き出してしまうという話に繋がっていきます。
補助は、微生物の補助です。同僚も少ないし、増えてもすぐにいなくなるし、働きにくい環境だなあ、と思っているだろう微生物さんたちのために、仕事量を減らすという目的で、汚れを抜き出しているのです。働き方改革ですね。
私は微生物のために働き、微生物は私のために働いてくれる。互助であり、微生物だけの一方的な働きでは成り立たないというのが私の考えです。

ちなみに(ちなみにじゃないですね、今回の話はここらへん読むだけで十分かも…)
私は内径15mmの普通の家庭用ホースを1mほどに切ったもの使い、水を抜くのと同時に、砂利と砂利の中の汚れを一緒に吸い出してしまいます。汚れは砂利と水と一緒に流されるので、バケツの中と違い、水槽内はほとんどにごりません。
直径15~20cmの範囲の砂利を吸い出しますが、底が見えるまではやらず、3分の2程度吸い出し、少し残しています。それで、10リットルのバケツで1回で済む、ちょうどいい感じにもなると思います。




目的は汚れを減らすことで、微生物を減らすことではないので、バケツの中を5、6回、多くても10回以内でかき混ぜてから、汚れた水を捨てて、砂利を水槽に戻します。水道水で洗ったりはしません。
砂利表面のコケが見苦しいときだけ、お米を研ぐ要領(私は、砂利の時は拝み洗い)で5、6回こすり洗いして、汚れた水を捨て、バケツの半量だけ水道水を入れ、3、4回かき混ぜて水を捨て、そのときまだ水がにごっていようが、すすぎはその1回で終わらせるようにします。

どちらにせよ、水槽に砂利を入れるときは、濁りは取り切れていない(取り切っていない)ので、下の写真のように、いったん水槽内は濁ってしまいます。
それでも、砂利の中は詰まっていた汚れが抜け、通りがいい状態に変わり、微生物が働きやすい職場環境になっているので、すぐに新しいエキノを入れてしまいます。
この濁りのもとも悪いものではないので、心配ありません。すぐにきれいになります。


最後の写真は、翌日の様子です。もうすっかり水は透明になっています。画像の加工でごまかしたりはしてませんよ。
その後、水草も滞りなく成長を始めてくれました。

またまた、ちなみに話ですが、
濁りが多かった際は、フィルターの目詰まりが起こる可能性もなくはないので、翌週か翌々週に、フィルターのメンテナンスをするときもあるのですが、それはまた、フィルター内の環境を見て、やったりやらなかったりと、経験と感覚が必要になるのですが、これもまた別の機会に。
というか、みんな同じ話しなんですけどね。


さて、当店でのこの管理方法はエキノドルス以外、クリプトコリネ、アポノゲトン、ニムファでも有効です。もちろん、有茎草でも。
こういうこと、じつは開店前か、お客様が少ない時間帯にやってるんですよ。
時々、うすらにごりしてるのはその直後かもしれません。
やる必要ないときはやりませんが、やる必要があるときはやってます。
当たり前か。

何かのお役に立てれば幸いです。
(高城邦之)

1/22/2023

丈夫な水上「水草」

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ノマフィラ・ストリクタ・‘フルール’
(Nomaphila stricta 'Fleur')

アクアフルール社から入荷。ノマフィラでも、ハイグロフィラでもなく、ジャスティキアの仲間と思われる種類。

肉厚で皮質、すぐに室内の湿度にさらしても、他の水草のようにしおれることがないくらいのしっかりとした葉を持っています。逆に沈水生活には不向きで、水中に留めていると、そのうち枯れてしまいます。

この「そのうち」というのがポイント!すぐに枯れることはなく、なんなら、ホントの水草より長持ちするくらいです。

実際のところは、水中に適応している訳ではなく、葉の丈夫さが幸いして、がんばっちゃってるだけなのですが…

それでも、すぐに葉がみすぼらしくなるわけでもなく、長持ちはしてくれるので、「水草」の代替品として、海外では流通しているようです。

日本には、1995年に、同じオランダのファームから2種類の入荷がありました。

アクアライフの95年11月号で、吉野さんがスキンベリとルブロスカーパの2種類を紹介されています。

本種もその流れで、どちらかだとは思うのですが、Justicia schimperiかJusticia gendarussa になるんじゃないかなあと思っています。



写真のように、下は水に浸かった状態、上は水から出た状態が、オススメの育て方。ボトルでもオープンアクアリウムでも簡単に育てられますよ。

ソイルでも砂利系でもどちらでもいいと思います。葉色が薄くなってきたら、底床肥料を施してあげてください。ただし、低木状になるくらい大きくすることも可能なので、とくにボトルでやるときはほどほどに。

写真より大きめのボトルで、浮草を浮かべて、ベタを育てるのも良いかと。その時はポットから出して直接底床に植え込んだ方がいいと思います。アヌビアス・ナナの小型種を、本種の足元に植え込んだら最高じゃないですか。



とにかく根張りがすごいです。根を張り、土壌の微生物が増え活発化し、土の中の分解能力があがり、結果、水質浄化の一端を担ってくれる(全部じゃないけど)、そうなると魚の状態が上がることに繋がっていきます。

そのためにはまず、植物自体が元気になるように。光を当ててあげ、肥料も施し、寒さも弱そうなので(gendarussaの原産地とか検索してみてください。好む温度が想像できます)、適温を用意してあげると、葉っぱも元気、水もキレイ、魚もいきいき、という水槽が楽しめると思います。

ちょっとムズカシそうに書きましたが、ホントは難しくないです。

水上でのヤマサキカズラ的なものの、新たな選択肢として捉えても、おもしろいんじゃないかなと思います。

私ならオープン水槽で、下はアヌビアス、上がペルシカリアやルド、ツユクサ科植物に、本種を加えるのが乙かな、と思ったりします。コンゴテトラ泳がせたりして。

見かける機会があったらぜひ楽しんでみてください。

当店通販サイト↓

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1/15/2023

2023年1月入荷のウェンティの新しいバリエーションです!

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クリプトコリネ・ウェンティ・‘スリーパドマ・シンドゥール’
Cryptocoryne wendtii 'Sreepadma Sindoor'

インドのファームから入荷した新着種。ウェンティの新しいバリエーションです。
入荷の詳細などは、問屋さんのインスタグラムでも読めます。



パッケージカバーがいつものグリーンからパープルに変わっているのは、スペシャルアイテムの演出でしょうか。輸入3回目にして初めて見ました。こういう工夫をしてくれると気分も盛り上がりますよね。


比較写真、左がウェンティ・‘ピンク’で、右が本種。あきらかに異なる色の表現をしています。それにしても、このファームのボリュームは、毎回立派です。


写真は水中に沈めた翌日のもの。名前通りのシンドゥールを彷彿とさせる色合いです。これからどうなるか楽しみ。
ウェンティ・‘ブラウン’からの派生だそうですが、ウェンティ・‘ブラウン’じたいが、ファームによって様々な表現を見せる、多様なバリエーションなので、‘ブラウン’くくりで集めても楽しいかもしれませんね。

10年前にイタリアのアヌビアス社から入荷したクリプトコリネ spサンセット(フロリダサンセットとは別もの)や、それに似たものが東南アジアのファームから入っていたのですが、それらが本種と同じような感じのオレンジ系のウェンティで、特徴的で良かったのですが、入荷がぱったりで、増殖品も見かけず(フロリダサンセットに似た名前だったのが悪かったのかも)で、また来ないかなあと思っていたので、本種の登場はとってもうれしい限り。しかも、今回のもののほうがきれいだし。

普及はこれからでしょうが、多くの人に楽しまれるようになるといいですね。

webshopでも販売中です。
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1/09/2023

耐寒性抜群!メダカの冬ごもりにオススメです!

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ミズハナトラノオ

Physostegia leptophylla

北米原産のシソ科植物 英名Water Obediant Plant、Slenderleaf False-Dragonhead

氷が張っても青々としているくらい耐寒性の強い、冬にオススメの水生植物です。

屋外で越冬可能な水生植物はたくさんありますが、地下で冬越しするものがほとんど。冬期間は地上部が枯れこみ、見た目に寂しくなってしまいます。

常緑で冬越しする水生植物もあるにはあるのですが、その種類はごくわずか。しかも、寒さが厳しくなるにつれ茶色になったり、葉が少し傷んだりしがち。そんななか、水中で青々している本種はめずらしい存在。どうしてもさびしくなりがちな冬のメダカ鉢には貴重です。

水中で葉を茂らせてくれるので、メダカの冬ごもりにぴったり。冬の数少ないグリーンとしても鑑賞価値は高いですよ。

東京、千葉で育成した経験では、屋根のない屋外で、厚く氷が張っても、しばらく雪が積もっていても、ずっと青々したまま、なんの問題もなく水中で越冬しました。私の経験上、常緑でここまで寒さに強い水生植物は他に見たことがありません。さらに寒い地域、東北や北海道でどうかはわかりませんが、メダカを越冬させている環境であれば、試してみる価値はあるかと思います。


ここで気になるのは、耐寒性が強いという事は、暑さに弱いの?というところだと思います。でも、大丈夫。耐暑性もしっかり兼ね備えています。
夏は姿を変え、水上に長く伸び出て来てお花まで咲かせてくれます。高さは50~60cm。花を付けると70~90cmほどに。園芸が趣味な方ならわかるかもしれませんが、ハナトラノオ(カクトラノオ)によく似たお花です。というのも両種は同じ属の仲間。花付きも良く水鉢を美しく彩ってくれます。
用土は赤玉単体でOK、水草用ソイルでもかまいません。生育期に化成肥料を施します。植え替えは1~2年に一度春先におこないます。とくにかかりやすい病害虫はありません。
冬は水中で緑を、夏はきれいなお花を、1年中楽しめるという意味では、とても優秀な水生植物と言えますね。

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