12/29/2021

何が何やらと思いきや、意外と面白かった。


 エキノドルス・‘アスケリアヌス’

Echinodorus 'Ascherianus'

タイのファームから入荷したものです。アスケリアヌスって…

ひどい名前だと思ってたんですが、沈水葉出てきたら、意外と面白いことになりました。

まず 、'Ascherianus'は、'Aschersonianus'のスペルミスでしょう。uruguayensisのシノニムになっているaschersonianusではなく、古くから水槽用水草として流通している'Aschersonianus'の方の。

で、アスケルソニアヌス'Aschersonianus'とは何かというと、原種ではなく、原種由来の不明種と交配種の複数のタイプが存在する、ざっくりとした、はっきりしないものです。時代とともに変化しているものと言ってもいいかもしれません。

私が最初にイメージするのが、細長い卵形で、先端は鋭く、葉柄は沈水では短め、割と小型で緑色、派手さはなく、特徴らしきものがないのが特徴というもの。「水草の楽しみ方」(緑書房)に載ってるものです。個人的に好きでしたが、最近はもう見かけないタイプです。

次に「アクアリウムで楽しむ水草図鑑」(ピーシーズ)に載ってた、赤褐色の斑模様が入るもの、これは、ラタイ便のアスケルソニアヌスによく似ています。これもイメージに上がりやすいです。

他に、スクルエッテリィ(コーディフォリウス・ミニ)、マクラータス(私たちが普通にイメージする所謂スクルエッテリィ)、ルブロマクラータスも、アスケルソニアヌスとして流通していたようです。

ドイツだと、スクルエッテリィ(コーディフォリウス・ミニ)と、'Aschersonianus'をイコールとしていることが多いようです。チェコだとまた別のものが出てきます。いつものことですが、混乱の原因はここら辺にありそうです。

数年前には、今までの流れにまったく沿わない、赤系の改良品種も入荷しましたが、これは外していいでしょう。

で、今回の間違え名前のものはどうなってるかと言うと、写真だとわかりにくいですが、ちゃんと(?)赤褐色の斑模様が入ってるんです。それを見て、おっ、いいね、となりました。まったく外れではなさそうです。ずいぶん幅広のおおらかな感じの葉を展開し始めたので、そこは引っかかったのですが、だんだんシャープな葉を展開しはじめ、面白みが増してきました。少なくとも今までの流れには沿っている印象です。スペルミスなんてどうでもよくて、この流れが重要です。

さらに面白いのが、新しい葉の赤みが強いことです(写真の下に写っている小さな葉)。となると、スクルエッテリィ、マクラータスは除外して、ルブロマクラータスとして入荷していたラタイ便のものが頭に浮かぶわけですが、ラタイ便のアスケルソニアヌスとどんな違いがあったか、記憶がほぼほぼありません。沈水の画像もほぼ出てこないため、唯一の手掛かりである、ラタイの小冊子カタログを開いてみることにしました。


で、一番可能性が高かったのは、何のことはない、ラタイ便のアスケルソニアヌスでした。そのまんまなのかあ、という事で、確認するため、もう一度観察してみたところ、


後ろから出てきたのは、カタログのアスケルソニアヌスそっくりの葉でした。もちろん、流れと見た目からの推測なので、これが確実に、ラタイの系譜のアスケルソニアヌスと断言はできません。ちょっと育てやすくなってる気もするし。ただ、間違ってはいたものの、曲がりなりにもそれなりの名前で入荷したことを鑑みて、まあ、アスケルソニアヌスですよね、これ。

コーディフォリウス・ミニと所謂スクルエッテリィは、また別に入手機会が得られるとして、このタイプの入荷は十分に価値のあるものだと思います。なぜ東南アジアのファームにあるんだか、ホント不思議です。

自分が仕入れていなかっただけかもしれませんが、久しぶりに見ました。悪くないと思いますよ。

こういう事があるからファームものも捨てたもんじゃないです。

最後にバットニュースですが、この種類、ファームのwebカタログに載ってないんですよね。問屋さん曰く頼めば来るらしいので、近々では問題ないかもしれませんが、いつ来なくなるか、ちょっと心配です。


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